公務員を辞めて母子で地方移住する話

首都圏の公務員を辞めて地方に母子で移住することが決まったので、これまでの経緯や、転職·移住に関連してこれから起こること、感じたことなどを書いていく予定です。

一年半前の失望と辞めたい気持ち ~人事異動

今回はちょっと具体的なことを書く。

 

一年半前、人事異動があった。

 

公務員なので、毎年、部署の人間は入れ替わるのだけれど、このときは施策の転換期に差し掛かる時期であり、且つ幹部が入れ替わる年だったので、今後の施策展開を左右する重要な人事異動だった。

 

人事は、蓋を開けてみるまでわからない。特にシモジモの者にとっては。まったく読めない。

 

とは言え、本課の課長の第一候補と言われる人はいた。私は、この第一候補の人(A氏)が課長になることを望んでいた。A氏は理論派なので、この方が課長になれば、グダグタになった施策がまともな方向に軌道修正されるだろうと思ったからだ。我が社の意志決定プロセスはいい加減で、トップ次第でどうにでも動いてしまうのだが、下馬評通りA氏が課長になるなら、良い方向に動くだろうと思っていた。

 

5月末。人事の発表。番狂わせが起きた。第一候補だったA氏は完全に外様の出先機関に追いやられ、全く予想していなかったB氏が課長席に座った。どうやら、部長に昇格したそれまでの課長C氏が、以降も院政を敷いて影響力を発揮するための人事だったようだ。

 

というわけで、グダグダな施策が今後も長く続いていく礎ができてしまった。

 

私の専門分野は、50年100年という長い時間で物事を捉え、考えていく必要がある。だからこそ客観的に状況を見極めて、いわゆるPDCAサイクルを回すのが重要なのだが、行政という組織の理屈の中では、動き始めたものを止めたり、軌道修正するのは容易ではない。修正の可能性があるのは転換期に差し掛かったとき、つまり今なのだけれど、B氏もC氏も客観的な分析の視点を持たないので、恐らく、何も変えられないまま進んでいくのだろう。現にあれから一年半、ズルズルと悪い方へ向かっている。

 

ちなみに、現在の施策に疑問を呈しているのは私だけではなく、「あれ?」と思っている人は他にも何人もいる。普通に考えたらおかしい話が満載なので、「あれ?」と思う人口は増えているはずだ。もしかしたらこっちがマジョリティーかもしれない。それでも何も変えられないのを、私は本課勤務の間に知ってしまった。どんなに根拠を積み重ねて、下々の者で議論を重ねて理解を拡げても、上の二人に持っていけば却下されるのだ。論理破綻を指摘しても、聞く耳は持たない。B氏C氏にあまりにも話が通じなくて、打ち合わせ後に班長以下4、5人でため息をついてうなだれたこともあった。

「意見照会」などと言って同じ技術系職員に広く意見を求めたりするが、それは「意見を聴きました」と言うための儀式であって、残念ながら何も取り入れられることはない。

 

そんなことの繰り返しで、疲れ果てた。

 

念のため補足しておくと、議会は機能していない。議員先生はスクリプトを読む役者に過ぎない。彼らがもっとまともに働いてくれたら、たとえ行政の部課長がアンポンタンでも、軌道修正はできるはずなのにと、いつも思う。

 

話があれこれ広がってしまったが、とにかくこの一年半前の人事異動で、「あー、終わったな」という失望感が私の中でかなり膨らんだ。このままこの仕事を続けても、おかしな方向に進む列車を押すことに加担するだけだ。しかもその結果が見えてくる数十年先にはB氏もC氏もおらず、責任を取らされるのは私たち世代だろう。

 

そんなわけで、「辞めようかな」という思いが、漠然と、でもこれまでで一番はっきりと湧いてきた。

 

志はどこか他の場所でも活かせるはず。そう思ったのが、一年半前だった。

 

次回は少し前向きな展開を書く予定。